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兵庫県豊岡市での雇用創出

事業者の目線から女性就労問題と帰郷率向上に取り組む
女性やママが働きやすい職場の実現へ

課題

兵庫県の日本海側に位置し、城崎温泉やコウノトリなどで有名な地方都市、兵庫県豊岡市。進学などで地元・豊岡市を離れた男性は2人に1人は帰ってくるのに対し、女性はその半分、4人に1人しか帰ってこない状況があります。そのため、豊岡市は豊岡に住む女性が働きたいと思える職場を増やすことなどにより、女性の回復率(女性が豊岡市に帰ってくる率)の向上を目指しています。
その解決策の一つとして、業務の細分化を行うことで生み出される、1日2時間から、週1日からの超時短勤務「プチ勤務」という仕組みの推進を行い、子育て中の女性向けへ働くことへの興味や自信をもっていただくためのセミナーなどを行ってきました。しかし、雇用する企業側の意識が変わっておらず、働きたい女性が働きやすく、かつ働きがいが持てる企業とそうでない企業の差が大きくついている状況があります。

解決への取り組み

ノヴィータではこのプチ勤務を取り入れるとともに、ママの働き方を取材してきたラシクや、自社での働くママの雇用などで培ったノウハウを活用し、「こうやって働いてもらうと、女性・ママはいきいきと働ける」を提示してきました。

2018年の兵庫高度IT起業家等集積支援事業の認定後、約4ヶ月間の採用活動で、フルリモートワーク勤務の豊岡在住の女性を6人採用しました。当初の計画では1年目に2人、3年間で3~4人に働いていただく予定だったので、嬉しい誤算であったとともに、「今は働いていないけれど、働きがいを感じながら働きたいお母さんはたくさんいる」事実を再認識。
2019年の立ち上げ当初はOJT(実務による職業教育)で採用業務を通じたデジタルマーケティングを学び、自社のデジタルマーケティングに関わる他、他社のデジタルマーケティング業務を請け負ってきました。
立ち上げから2年後の2021年、デジタルマーケティング業務で在宅勤務を行ってきたメンバーのノウハウをカリキュラムに落とし込んだ講座を豊岡市内で提供開始しました。これは、パソコンやスマートフォンを通じて商品を売る仕組みを戦略的に設計し、ビジネスに貢献する人材育成を行う講座となっていて、在宅勤務を行いながらビジネス貢献をするスキルに重きがおかれています。現在は豊岡市はじめ、各自治体を経由して提供しています。
この講座は女性就労支援の側面が強くありながら、女性のみならず男性にもご受講いただいています。デジタルマーケティング人材の就職先を増やすべく、並行して経営コンサルティングなども行うことで最終的にはこのような雇用を市内で増やし、豊岡市は自律的に働ける人がいる街として、市外県外の企業の誘致をしていければと考えています。

女性のUターン率の低さを回復させることが命題であった豊岡市に対し、女性活躍において経験や知識を多く持つノヴィータのノウハウを活かし、女性がワクワク働ける社会を実現させようとしています。

これまでのあゆみ

2016年
2月
東京で開かれた豊岡市の情報発信イベントに小田垣が参加したことをきっかけに、女性のUターン率の低さを回復する手法について、豊岡市と継続的に情報交換を行う
2018年
9月
兵庫高度IT起業家等集積支援事業(ITカリスマ・助成金)に採択
2019年
2月
約4ヶ月間の採用活動で、フルリモートワーク勤務の豊岡在住の女性を6人採用
4月
サテライトオフィスの本格活用を開始
5月
豊岡市主催「リベラルなまちを作るシンポジウム」に小田垣がパネリストとして登壇
7月
豊岡市長面談、および豊岡市役所主催ワークショップへ参加
2020年
1月
求人票作成を通じてシビックプライドを高める、高大社連携授業に参加(2019年4月開始、2020年1月発表会)
2021年
3月
デジタルマーケティングやリモートワークの知見を活かし、ワーケーションをしてもらう理由を探るモニターツアー(ファムトリップ)の豊岡市での開催を支援
4月
国と、県の機関である但馬技術大学校より委託を受け、デジタルマーケティング習得コースを開講(2021年4月~7月ほか、計3期開催)
7月
豊岡市より委託を受け、「働きたい女性のためのデジタルマーケティングセミナー」を開講(2021年8月~2022年3月ほか、継続開催中)
12月
サテライトオフィスの活用を終了
2022年
4月
豊岡市で行う「働きたい女性のためのデジタルマーケティングセミナー」が、内閣府男女共同参画局 女性デジタル人材育成プランの優良事例として選出

担当者より一言

豊岡市は私の出身地ですが、それだけで取り組むことを決めたのではありません。東京に来て20年近く経っている間に豊岡市は魅力的な都市になっており、さらには豊岡市職員の方々の責任感と熱意を受けて「自分ができることならやりたい」と今回の取り組みに至っています。逆に言うと、自治体側の熱意があれば、豊岡市に限らずできる手法なのでは、とも思うくらいです。
働き方改革という言葉は、働く側の意識改革の話ばかりが踊っています。ただ、実際は周辺の人の意識に大きく影響されるため、周辺の人の意識も変えていく必要があります。
私自身、この取り組みをきっかけに、豊岡市をどんな風に盛り上げようかと考える立場に変わりました。新しい事業が地方に根付くには時間がかかります。自治体の想いや力も必要です。女性のUターンを求める他地域にも、この取り組みが広まればと思います。